歯周病とは、歯茎や歯を支える骨などが破壊される病気です。歯と歯茎の間にある歯周ポケットに細菌が入ると、歯茎が炎症を起こして腫れたり出血することがあります。これがいわゆる歯周病の初期症状です。
進行が進む痛みや腫れが少しずつ強くなり、歯を支えている歯根部分が溶け始めます。歯茎から膿が出ることもあり、次第に歯茎がブヨブヨして支えることができなくなり、歯が抜け落ちることもあるので、歯周病は早めに治療をしましょう。
歯周病が全身に及ぼす影響
早産・低体重出産
・歯周病による炎症が影響する場合
歯肉が炎症すると、炎症物質が歯肉から体内に入り子宮が収縮されるので早産の可能性が高まります。
・歯周病菌が子宮内部に感染する場合
血液中に入り込んだ歯周病菌が、羊水や羊膜に感染すると、早産や胎児の発育不全を引き起こす可能性が考えられます。本来無菌の羊水ですが、早産になった妊婦さんの羊水から歯周病菌が検出されたという報告もあります。
歯周病と早産の関係は、まだ不明な点も多いですが、妊娠前に歯周病ケアをしっかりと行い、妊娠中に歯周病になるリスクをできるだけ抑えることをおすすめいたします。そして、万が一妊娠中に歯周病にかかってしまった場合は、安定期に治療を受けて、安心して出産できるように準備をしましょう。
誤嚥性肺炎
肺炎とは、細菌やウィルスが肺の奥にある「肺胞」に侵入して、炎症を起こす病気です。肺炎になる高齢者の多くは「誤嚥(ごえん)性肺炎」であるといわれています。
本来は、「口→食道→胃」へと流れる食物や唾液が、誤って「口→気管→肺」に入ってしまうのです。食物や唾液には、たくさんの細菌が含まれていて、歯周病になると更にその細菌の量が増殖するので誤嚥性肺炎の方は、注意が必要です。
動脈硬化
歯周病になると原因菌などの刺激により、動脈硬化を誘導する物質が出てます。これが血管内にできるので、血液の通りが悪くなってしまいます。そうなると、脳や心臓の血管が詰まって脳梗塞や心筋梗塞を引き起こす可能性もあるので、注意をしましょう。
糖尿病
歯周病が原因で歯茎に炎症が起きると、歯周病菌が増殖します。そして血液中にある歯周病菌などの阻害物質が増えると、インスリンの働きが弱くなり、糖尿病が悪化します。さらには、体力や免疫力が低下するので歯周病が更に悪化するという悪循環を起こしてしまいます。つまり、糖尿病の方は歯周病になるリスクが高く、歯周病の方は糖尿病になるリスクや糖尿病を悪化させてしまうリスクが高いのです。
当院の歯周病の治療法
歯磨きの指導
スケーリング・ルートプレーニング(歯石除去)

歯周病の原因となる歯の表面についた歯垢や歯石の除去をします。歯の表面をきれいにすると、歯茎の炎症が治りやすいので、歯磨きで除去することが難しい歯石をスケーリング・ルートプレーニング(SRP)で取り除きます。
YAGレーザー
当院では、歯肉の炎症や、歯茎の出血を抑える効果があるYAGレーザーを導入しています。正しいブラッシングやスケーリング・ルートプレーニング、外科手術のどの治療の場合でも、YAGレーザーを併用しながら歯周病治療を行います。
歯周病治療で重要なこと
歯周病治療で重要なこと、それは定期的なメンテナンスです。歯周病治療は症状がおさまっても骨が元通りになったわけではありません。お口の中の細菌数を減らし、歯内の炎症をおさえる事で、進行させない事が重要です。
治療後も、丁寧なブラッシングと歯間ブラシやマウスウォッシュなどを使って、歯の細かなところまで清潔に磨くことを心がけてください。
そして、3ヵ月に一度の頻度でメンテナンス受け、毎日のセルフケアで落としきれない歯垢や歯石の除去をしましょう。なお、歯周病にかかりやすい方や糖尿病で歯周病を再発しやすい方などは、1~2ヵ月毎にメンテナンスを推奨させていただくこともあります。詳しくは歯科医師にご確認ください。